FAQ──柳美里への質問と回答 -vol.4-




春の日差しに上着を脱いだり、突然やってくる北風に身を縮める季節になりましたが、ずばり!! 今着ている服装について教えてください(何かこだわっているポイントがあればそれも)
●渋谷の公園通りの<WAKE UP>という店で8年前に購入した、レンガ色の薄手のセーターと小豆アイス色の巻きスカートです。いまは布だけの服が好き。つまり、ボタンやファスナーやゴムは嫌だということです。とにかく、からだを一部分でも締めつける服はボツです。着ていないような服がいい。ちなみに、この一年間ほとんど毎日ノーブラです。
「春」は別れの季節ですか? それとも出会いの季節?
●ひとそれぞれでしょう。作品を読んでいただければわかると思いますが、わたしにとっては別れの季節です。ちまたでは花や芽が吹き出しているから、なおさら喪失が際立ちます。
いよいよ4月から『雨と夢のあとに』のドラマがスタートしますが、注目している役者さんや、ドラマに期待していることってありますか?
●一視聴者として楽しみにしています。ドラマの脚本は成井豊さんと真柴あずきさんがお書きになるわけですし、麻生学さん、常廣丈太さん、唐木希浩さん、新村良二さんが演出します。ですから、わたしの書いた作品ではないわけです。わたしが書いた『雨と夢のあとに』は、書店に並んでいる一冊の本だけです。
熱があったり、どこかが痛かったりetc、体調の悪い時に聴く音楽は何ですか?
●ほんとうにキツイときは音楽なんて聴けません。体調が悪くても締め切りが切羽詰っていて、なんとかして気持ちを持ち上げなければならないときは、忌野清志郎の「誰も知らない」とか「つ・き・あ・い・た・い」とか、あとはそうですねぇ、エレカシの「デーデ」あたりですね。いっしょに暮らしているカレの影響ですが……。
靴の数について、エッセイに書かれていたことがありましたね。今、世の中の平均よりも多く持っているだろうと思われるものは何ですか?
●なくなったらエライことになる、という強迫観念から、あらゆるもののカートリッジや文房具の予備を山ほど保管してあります。それこそ、売るほど。万年筆インクのカートリッジなんかは10年前に買ったのがまだ100箱ほど残っていて、この前、装着して書いてみたら、色褪せて読み取れませんでした。修正テープ、筆ペンのカートリッジ、カッターの替え刃、ルーズリーフのクリアファイル、朱肉やスタンプの補充液などなどなどなど、おそらく一生かかっても使い切れないでしょう。病気ですね(笑)

少し前に流行った『アニマル占い』、トラですよね(笑)。当たっていると思いますか?

●あぁぁぁぁぁぁ……ありましたねぇ……あれは確か小学館の本だったような……当時の担当編集者の飯田昌宏さんに見せてもらって、「柳さんはトラですね」と言われた記憶がうっすらと残っているんですが、トラがどんなだったかは忘れちゃったなぁ……ごめんなさい……。
これは当たってる!!と思われた占いはありますか?
●『BIRTHDAY  BOOK 』(同朋舎出版)
今、走っていますか? 走ることって気持ちいいですよね。今、走ってみたいなーって思う土地、コースはどこですか?
●半年間まともに走ってないので、いつものコースを走りたいです。いつものコースってどこ? と思われたら、『交換日記』(新潮社)を読んでみてください。
国内外を問わず、お好きな芸人、コメディアンなどはいらっしゃいますか? また過去よく見ていた、あるいは現在よく見るバラエティ番組などがもしあれば教えて下さい。
●息子の妊娠と、故東由多加の癌が発覚した1999年夏からテレビを観なくなり、いまでは観ないことが習慣になっています。 過去のバラエティー……う〜ん……思い出せません……ごめんなさい……。
中島みゆき、黒夢などお好きなアーティストは多いと思いますが、携帯の着信音にはどのような曲を使っていますか?
●メールの着信音は「埴生の宿」(貧しい小さい家)です。

'Mid pleasures and palaces though we may roam,
Be it ever so humble, there's no place like home;
A charm from the skies seems to hallow us there,
Which, seek thro' the world, is ne'er met with elsewhere.
Home, home, sweet, sweet home,
There's no place like home,
There's no place like home

An exile form home, splendor dazzles in vain,
Oh! give me my lowly thatched cottage again;
The birds singing gaily, that come at my call:
Give me them and that peace of mind, dearer than all.
Home, home, sweet, sweet home,
There's no place like home,
There's no place like home

'Mid pleasures and palaces though we may roam
Be it ever so humble, there's no place like home!
A charm form the skies seems to hallow us there
Which, seek thro' the world, is ne'er met with elsewhere.
Home, home, sweet, sweet home,
There's no place like home,
There's no place like home
(原題 Home, Sweet Home Payne作)

高畑勲監督の『火垂るの墓』の終戦後に家に戻ってきた家族が蓄音機でレコードをかけるシーンで流れますが、『火垂るの墓』を観る前(小学生のころ)から好きでした。 この曲のアンティークオルゴールを捜しています。なかなか、これだ、と思うものが見つかりません。
電話の着信音は、「森のくまさん」(♪あるぅひ、もりのっなっか♪)です。
柳さんはよく歌っているイメージがありますが、普段よく口ずさむ曲はなんですか?
●いまは、奥田美和子の『青空の果て』です。
偶然にも、わたしの38回目の誕生日に発売される奥田美和子の1stアルバムは相当いいので、ぜひ買ってください。みなさんが口ずさめる曲が入っていると思います。
柳さんのストレス解消法はなんですか?また、自分は今生きてるなぁと感じる瞬間はどんな時ですか?
●わたしのストレスは書くことから生まれていますが、そのストレスを解消できるのは書くことだけです。
生きているか……のぼり坂を走っていて、息があがって、心臓がズキンズキンいってるとき、かな……。
食べる事に執着しないと仰る柳さんですが、もし人生最後食事になるとしたら何を召しあがられますか?(自分で作るでも、お店のものでも可)
●迷うことなく、お茶漬け。なんにもかかってないやつ。おいしいお米においしいお茶をかけて、さらっと食べて、ごちそうさま、バタンって感じで……。
息子さんや「彼」と、同じタイミングで同じ言葉を発してしまったことはありますか? どんな言葉でしたか?
●ないです。
ご自分が親と似てるなあと思うところはありますか?(例えば子どもの育て方やしぐさ等)
●突然、バイクでやってきて、植木バサミで花や枝をメチャクチャに切ってしまうようなところ(母)。
現実に足をつけない、目を向けないところ(父)。
息子さんにはエッセーなどで「物語」に登場させていることをどのように説明していますか?
●それは説明するもの、説明すべきことではないと思います。実在するだれかのことを作中に生かすとき、わたしは事前にも事後にも承諾を得ません。それによって、『石に泳ぐ魚』はモデルの女性に訴えられ、8年間に及ぶ裁判の後、最高裁によって発禁処分になりましたが、わたしの考えはまったく変わりません。その考えに関しては『窓のある書店』(ハルキ文庫)の「表現のエチカ」(P22−P43)と、『世界のひびわれと魂の空白を』の「「石に泳ぐ魚」裁判をめぐる経緯について答える」(P177−P204)「「朝日新聞」社説と「大江健三郎氏」に問う」(P205−P247と、『交換日記』の「他人の痛みを痛むことはできない」(P254−P274)に書いてあります。
息子は読みたかったら読むだろうし、読みたくなかったら読まないでしょう。
もし、読んで、不快な思いをしたとしたら、徹底的に話し合います。
話しても理解してもらうことができなかったとしたら、哀しいですが、仕方ありません。
「創造という特権のすばらしさは、裁かれることを覚悟で自己をさらけだしてみせる人間の勇気なのだ」(トリュフォー)
息子さんに「これだけはしちゃだめ!!」と思うことはなんですか?
●ひとさまに、我が家の教育方針はこうこうこうです、と胸を張れるような育てかたをしているという自信は皆無です。ですから……いえません。
聖書の魅力ってなんですか?
●聖書はあらゆる誤読を許容する物語だと思います。そのキャパシティーの広さでしょうね。
「言霊」ってあると思いますか?
●はい。
よく見る夢ってありますか?
●東由多加が出てくる夢。
虚構で現実を書き換えるといっていましたが、現実はどのように変わるべきで、どのように変えたいと思いますか?
●ひと言では、とてもいえません。18歳のときに書くという仕事を選んで、今年で19年になりますが、1作1作それを試みているわけです。
すべて作品に込めています。読んでください、としかいいようがありません。。
自分の感情のなかで1つだけ消せるとしたら何を選びますか?
●ええぇぇぇぇ……わたしの場合、いくつもの感情が絡み合っているというか、もうお団子状態になっているのでひとつだけ感情を取り出すというの難しいなぁ……でも、どんなに負の感情であっても否定はしたくありません。
2004年1月7日のNHK番組『私はあきらめない』で柳さんがおっしゃった「私の闇で誰かの闇を照らしたい」という言葉が心に残り、ずっと引きずっているのですが、この言葉の意味をもう少し教えてもらえませんか。
●これは、『旧約聖書』の「ヨブ記」の言葉なんです。

ヨブ記10章22節
その国の暗さは全くの闇で
死の闇に閉ざされ、秩序はなく
闇がその光となるほどなのだ。
目の前で自死を求める人を発見したらどうしますか?
●手を伸ばせる距離だったら、つかみます。
手が届かなかったら、叫びます。
もしそれが知人ならばどうしますか?
●24と同じですが、名前を叫ぶと思います。
目標を達成するということをどう考えますか? 柳さんは一つの作品を仕上げる過程やその先にいつも何かしらをみているのですか?
●見ていません。つぎの1行を書くのでせいいっぱい。厳密にいうと一字一字、画鋲を突き刺すように書いているんです。なにを留めようとしているのか……自分でしょうね……先は闇しかありません。
現在は不可能だけれど、いずれ挑戦してみたいことなどありますか?
●戯曲を書きたい。
一年間なにも書かないで、本を読みまくりたい、映画を観まくりたい、旅行をしたい。
それぐらいかな?
欲しいと思い続けながら手に入っていないもの、ありますか?
●「わたしはほしいものがないんです」。『ルージュ』の谷川里彩の言葉に同意。
なくしたいと思うけれどなくせないものってなんですか?
● 自意識
広辞苑によると、自分自身がどうであるか、どう思われているかについての意識。
魔法使いが現れて「3つの願いを何でも叶えてあげよう」と言いました。 今なら、どんな願い事をしますか? 中学生の頃なら、どんな願いごとをしたと思いますか?
●いまの願いは、申し訳ありませんが、ここではいえません。
中学生のころは、2.H(好きだった女の子)が振り向いてくれますように。3.父、母、妹、ふたりの弟と、なにも起こらなかったときのように、いっしょに暮らせますように。1.美大(芸大)に合格したあと、絵を描いて生きていけますように。





戻る


Copyright(c) 2004-2005 La Valse de Miri [yu-miri.com].All Rights Reserved.